愛がたどりつく場所

完全なるぱる!フラットににのみやくん!

母と暮してみた

2015年が終わる…。2015年が終わります。2015年が終わります………。ついこないだ発売したアルバムでついこないだ始まったツアーももうすぐ終わりますね。本当に年末ってやつは…!

 
そんな2015年の12月12日。年末に「母と暮せば」がついに公開されました。
記者発表から約1年と。うわぁ〜にのみやくん…!大丈夫か…!すごい緊張しとるやん…!しめしめ…!と思っていたのがついこの間のようです。発表直後に公開されたビジュアルがとても素敵でした。あとにのみやくんの声フェチの私にとって、特報のあの優しい声((は期待するしかなかったです。
 
12月12日、公開初日に観てきたのでその感想です。やんわりネタバレすると思うので、ご了承を。

 

ライブビューイングの回を観てきました。地元の映画館で観てきたのですが、発売開始の1時間後くらいに予約しようとしたら、もう主要な席は結構埋まっていて驚いた。ちっちゃいとこなんだけども。運良く見やすい席を取れました。いざ会場へ入った時の感想は、とにかくご老人の方が多い…!もちろんニノ担だろうなという方もいたけど、それと同じくらいの人数でご老人の方が沢山いらっしゃいました。しかも夫婦で来てる方もいっぱい見かけたな。あとは親子とか。私は嵐の面々の出演作はなるべく映画館で観るようにしてるのですが(ちょっと大奥は耐えられなかった)、こんなにお年寄りの方がいたのを見たのは初めてだったので、かなり驚きました。手伝ったりもしたけど、席を探すのもゆっくり段差を降りたりと大変そうだったな。サユリストなのかヨウジリストなのかわかんないけど、すごい作品に出たんだなぁ…と改めて感じたというか。
ビューイングの感想はその日にツイッターで覚えてる限りつぶやいたので、なんか、そちらみてください(笑)
 
 
本編の内容。
とにかくこれは山田洋次の映画です!!というくらい、山田洋次イズムがすごかったです。というほど山田洋次監督の作品観てないけど(笑)でも一度観たことがあったら、絶対にわかる、あの雰囲気です。ちょっと古臭い台詞回し、映像のカット割り、クスッと笑えるようなシーン、舞台チックな演出…と、山田洋次の世界観がそこには広がっていたというか。この中ににのみやくんがハマっていくことが想像できなかったし、想像することもないと思っていたのだなぁと。私はその山田洋次イズムは、好き嫌いが分かれると思っていて。私自身は中間て感じかな?(笑)現代のお話の場合はあんまり好きではないのだけど、この作品は時代が時代なので、普段苦手な方もあんまり毛嫌いすることはなく観れると思いました。
お話としては、"戦争を知ってくれ"といわんばかりの教科書のような映画ではないということです。戦争による"傷跡"を描いたような。残された人と残してしまった人の傷跡みたいな話だなぁと思いました。その傷はただただえぐるだけではなく、母と息子の中で何度も撫でながら…みたいな、優しさがありました。だからこそ、悲しくて切ない。でも優しい。でも…と、堂々めぐりしちゃう。でもね、ゆうほど悲しくないと思っていて!それは途中の回想シーンなどによるコミカルなお話が沢山あるからです。これが山田洋次監督の助け舟な気がする。
作品の中で、母と息子の会話の中で思い出話が沢山出てきます。それによる回想シーン、といった形。思い出話は長崎のあの場所で〜とか、観光地案内のような長崎を強調するようなものが多かった(これがまた山田洋次イズムだと思ってる)。息子には過去の思い出話をするしかない悲しさがあるんだけど、久しぶりにあった人と話すのって、だいたい思い出話だったりするよね〜とかちょっとほんわかしてました私。
あとは町子ちゃんとの回想シーンがとても初々しくて可愛かったです…。慌てて床にベターン!ってなるの(笑)とくに町子ちゃんの半纏着てベターン!てなる後ろ姿が可愛かった(笑)コミカルなシーンでは、会場で何度も温かい笑い声が響いてました。
そんなシーンの1つの、上海のおじさんと伸子さんのシーン。浩二くんがはたきを持って退治しようとするんだけど、特に警戒もしない伸子さんに対して、むこうで父さんに言いつけるぞ!って言うシーンです。
「絶対に言いつけてやるからな!」っていう表情と言い方に、コミカルなシーンながらも、鼻がツーンてしてました。そういうことも多かったなぁ。
あーあと、初めて姿を現した亡霊の浩二くんに対してなんの抵抗もなくすんなり受け入れる母、という図がもうちょっとなんかあっても…って違和感あったかなぁ。VFXはすごく好みでした。
 
にのみやくんの演技に関して。私はにのみやくんの芝居に対してちょっと持論を持っているんだけど(過去のはてなをどうぞ)。今回は現場もあってか、いつものあの二宮くん!という感じではなくて。でもその監督の理想という名の"模倣"をする中でも、嫌でも見え隠れする自分らしさがあると思うのです。その芝居がとっても良かったです。台詞台詞してる言葉と、自分の内から丁寧に発せられるような言葉との強弱みたいなのが心地よかったなぁ〜。吉永さんが吉永さんという演技をされる方なので、そこにハマっていくことがにのみやくんには要求されていたと思うのですが、うまくやってるなぁ器用だなぁと思いました。純粋で可愛らしい浩二くんの像をにのみやくんが作り上げてくれた感じ。ずっとムカムカしてたのに、町子ちゃんの話をするとパッと表情が明るくなったり。2時間、んふふ可愛いねぇ浩二くん可愛いねぇて会場にいたみんなで愛でてた気がします。あとすごい歌うね??にのみやくん(笑)すごい歌う!(笑)しかもそれが結構な低音だから、にのみやくんの低音好きとしては良かったです。お話としては別だけど(笑)あとにのみやくんがよくやる最後のほんとの最後に声震わせるやつ。これはビブラートっていうのかい?ってやつ。あれも存分に聴けます。それから、あくまでもこの作品は吉永さんが主演であることがよく分かりました。浩二くんはあくまでも伸子さんを取り巻くキャラクターの一人なのだと。その塩梅がよかったのかな。良かったよ〜にのみやくん。久々ににのみやくんの芝居に惚れ惚れした気がします。
 
あとは脇役陣がとっっても素晴らしい!町子ちゃんや上海のおじさん、お隣りのおばさん、お父さんを亡くした子供、…と、脇役陣の力が凄まじくて、そこに涙することが多かったです。町子ちゃんの存在もとても大きかったですね。この作品は母と息子だけじゃなく、母と町子ちゃんの話でもあるんだなと観た後に感じた。町子ちゃんと伸子さんのシーンで一番泣いてたと思う。あの二人が合わさると"哀しみ"ばかりで、希望などが生まれないからかなー。本田望結ちゃんも素朴なあの時代の学生を演じてくれていて、最初望結ちゃんだと気づかなかった!この脇役たちのシーンを見ていると、これ戦争映画なんだなぁともう一度再確認される。お隣りのおばさんの最後の台詞がまた、胸にきました。素敵な配役で嬉しかったなぁ。
 
その最後の結末はちょっと意外だったかな。まぁあのまま最後まで終わるわけないんだけど。予兆はちょっとずつ感じていたけど、そこも案外すんなりと流れてラストシーンへ、というような。でもこの結末を観ると、果たして母親の前に息子が亡霊として現れたことは、本当に幸せだったのかなと感じました。幸せそうに見えて、結局は自分自身を追い込むだけだったのではないかと。浩二くんが現れてから、母親はその姿ばかりを探すようになる。その生活だったり感情だったりを、亡霊の浩二くんに蝕まれていくような。そして同じ道を歩むことを知り、狂ってしまったように大喜びする笑顔がまた痛かったです。ここはらしくないなぁと思った。こうなるくらいなら、最後まで息子は生きていると思い続けた方が幸せだったのかなーとか、なんだか考えてしまいました。
 
色々と話してしまいました…おぉん…(笑)これでもまだ一回しか観てないのでまた考え方も変わるかもしれないけど…。
あと最後これだけ。この作品では、町子はこの映画の、この戦争の"希望"になっていると、多くの場で語られているのをよく見かけたのだけど、私がこの映画を観ている中での希望は、浩二くんでした。浩二くんのいないシーンでは、基本戦後の救いようのない傷跡が募るばかりで。そんなシーンを沢山観てしまうと、浩二くん早く来て…!とか、浩二くんはやく現れて…!と、思い出話を沢山もって飄々と突然現れる浩二くんに会いたくなることが沢山ありました。そしてふわっとその姿が現れると、あぁよかった…ってなんだかホッとした。会場全体も浩二くんが現れるたびに、ふふふと微笑む声が聞こえることが何度もありました。でも、ここで気づいたのは、この感情はきっと母親の伸子さんと同じだったのです。果たして本当に幸せだったのかと考えていた伸子さんと同じように、私も希望である浩二くんを探してしまっていたんだなーとか考えて、また沼であります……。
 
映画、すごく見応えあったなぁと思いました。ゆっくりと流れている時間の中で、ゆっくりと時間が与えられ、考えさせられた。私の観た会場ではたくさん鼻をすする音が色んな方向から常に聞こえていました。私自身は普段から映画館ですするほど泣いたことがないので、すすり泣きはしなかったけど、何度もほろほろっと涙が自然と溢れていました。温かかったです。フィルム上映もするしまだ前売りも使ってないから、また考えに行こう…!みんなにもっと観てほしいなー!あと「母さん、僕が見えるかい?」と呼びかける本編にはないセリフの温度が最高なテレビCMも素敵なので、是非見ていただきたい。
 

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上映が終わった後に受付でパンフレットを買っていたら、割り込みしてきたお爺さんが「この母と暮せばはいつまでやってるんですか?」と店員さんに急いで聞きに来ていたのが印象的でした。
 
 
また観に行きます。