2024年は映画だけを考えた 下半期
私としたことが下半期の映画をまとめ忘れていたことに今更気づきました。毎年毎年続けていたのに!
その理由の一つが全然映画観に行ってない。死活問題すぎ。まとめるのも恥ずかしいくらいの少なさですが、とりあえず感想の記録用として続けてきたのでまとめます。
1. ラストマイル

野木さん塚原さんコンビのオリジナルストーリーということでもちろん前々から注目はしていたのですが、なんせアンナチュラルしか観ておらずMIUは全く知らないためこれは楽しめないだろうな…と思ってたのですが相互さんから観てなくても全然いけると教えてもらったのでサクッと観てきました。
流通業界最大のイベントである11月のブラックフライデー前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生し、やがて日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展する。関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナは、チームマネージャーの梨本孔とともに事態の収拾にあたるが……。
今ものすごく需要のある誰でも利用したことのある物流業界のネットショッピングを大きなテーマにした本作。このチームは本当に扱う題材が上手いですよね…それでもう半分くらい勝ち確してる感じ。まだあまり手垢のついていないところ(そして誰もが見逃していたような部分)をズバッと引き抜いてくるところがまずすごい。得体の知れない流通システムの恐ろしさみたいなところ、気になるもんね…。そして話を進めるために強引なところもありつつ、でも2時間で綺麗に物語が締まっている読後感もスッキリしていた印象があります。この話のまとめ方も野木さんはうまいよなぁと思います。物語が始まってからずっと舗装された道を歩いている感じ。種明かしはちょっと複雑で頭の体操しながらぐるぐると考えてしまったかも。
また野木ドラマの醍醐味である社会問題定義、バディもの(陽型&陰型)、自立している強い女性像という3本柱が存分に堪能できる仕様になっています。私は久しぶりに野木さんの作品を観たんですが、野木さんってこんなアメリカドラマみたいな台詞書く人だっけ…!?と拗れや頓知を感じるやりとりが新鮮でした。笑 でもそういう役所、満島ひかりさんは超ハマるんだよね…。満島さんって少しクセの強い役者さんかなと思うんですが、今作は見事にその特徴を上手く活かしていてすごいなと。あと阿部サダヲっちやディーンっち、宇野さんなどここぞという人がちゃんと配役されているところも軍配が上がる。また奇しくも火野正平さんの遺作となってしまった本作。おいしい良い役所だったし、とても素敵でした。MIU通ってなくても全然大丈夫でした。あっなんか多分お馴染みの人たちがこのメンツでこれが陰陽タイプなんだなみたいなのも一瞬でわかる。
一体犯人が誰なのかということを結末に置いているのではなく、真の結末は物流業界の触れてはいけない闇に問題定義をする部分にあったのだと感じ取れる作品でした。そういった意識がはたらくだけでもこの作品が公開された意義があるんだなと思います。
2. ぼくが生きてる、ふたつの世界

とっっっても素敵な話でとっっても良かった。あらすじを見て前々から観に行こうと思っていたのに、なんと公開している映画館がめちゃくちゃ少ない!忙しかったので諦めかけていたのですがでも評判がまたすこぶる良かったので頑張って足伸ばして観に行きました。
宮城県の小さな港町。耳のきこえない両親のもとで愛情を受けて育った五十嵐大にとって、幼い頃は母の“通訳”をすることもふつうの日常だった。しかし成長するとともに、周囲から特別視されることに戸惑いやいら立ちを感じるようになり、母の明るさすら疎ましくなっていく。複雑な心情を持て余したまま20歳になった大は逃げるように上京し、誰も自分の生い立ちを知らない大都会でアルバイト生活を始めるが……。
聴覚障害を持つ両親に育てられたCODAである主人公。まさに以前アカデミー賞作品賞を獲得した「コーダ」とも似たシチュエーションや設定なのですが、より日本人に近い感覚がありました。前者はドラマチックな主人公成長ストーリーであり、本作は日本のしがらみの中にある主人公の居場所探しストーリーでした。コーダの主人公のようになにか特別な才能があるわけでは全くない。決してドラマチックな派手さはなく、不安定な主人公の大がどうやって生きていくのかを成長と共に見守るようなイメージ。お父さんが徐々に廃れていくところもリアルだった…。
ゆったりとした映画に見えて、全然そんなことない。郵便手紙、パフェ、三浦友和…など伏線が細かく張られていたところも驚き。そういう映画じゃなさそうなのに!笑 雰囲気に流されず飽きずに見ることができたと思います。大がどれだけ廃れてしまっても母親の変わらない愛情。そんな母親に育てられたからこそ、大は本当の悪にはなろうとしてもなれないんですよね。
撮影も実際の聴覚障害を持つ俳優さんを起用したそうで、撮影方法もまさに「コーダ」を意識してるんじゃないかなと思う。でもそれくらい自然だったし、本当にみんな上手い演技をする俳優陣だなと思いました。この学生服を着た学生時代から社会人になるまでをすべて演じ切れるのも吉沢亮パイセンだからこそだなと。空っぽになり魂がどこかにいってしまったような表情だったり、両親に対する想いが溢れ出る瞬間の表情だったりと、この年代の独特なもどかしさを丁寧に紡いでくれている気がしてとても気持ちよかったです。最後の母親の背中のラスト。いろんな思いが込み上げてくる気持ちがじんと伝わってきます。
タイトルにあるように、本当に「ふたつの世界」が常に存在している世界線だと思いました。大が大人になるために乗り越えなければいけない本当の自分探しと、両親の元で愛情を持って育てられた手話を使いながら誰かの役に立てていること。二つが並行していて、常に隣り合わせにあるものなんだなと思うくらい自然と移り変わる大。とても心が浄化される良い映画でした。頑張って観れてよかった!単館なのが本当もったいない!!
ということで下半期はなんと2本しか見に行けませんでした。コロナ禍より少ないかも…。上半期6本、下半期2本で計9本。単純に観たい作品が少なかったのもありますが、下半期は引越しの忙しさも相まって公開後の評判が意外と微妙だったものが多かったり、ちょっと良い時間にやってなかったりすると諦めてしまうことが多かったので反省。
今年はちゃんと気になったものは時間作って見に行けるといいなと思いました。まだシネマイレージ更新してないからしなきゃ…。
先日ちょうど日本アカデミー賞ノミネート作品も決まっていました。
最多獲得の「正体」は観に行こうとして結局行けていなかったので悔やまれる(まだ行こうと思えば行ける)。ティザーは引かれたけど本予告の雰囲気とストーリーのオチがなんとなく想像つきそうな感じで踏み切れず…。それよりもクドカン、港さんの「サンセット〜」を第一に観に行きたいかな…。でもあれも思ってた雰囲気とちょっと違って不安…笑
今年すでにピックアップしてるのでは、
「サンセット・サンライズ」
「リアル・ペイン 心の旅」
「野生の島のロズ」
「悪い夏」
「ANORA アノーラ」
「ブルータリスト」
「国宝」
「教皇選挙」
「星つなぎのエリオ」
「SING SING」
「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」
「宝島」
「平場の月」
「爆弾」
「Nickel Boys」
今年はアカデミー賞にノミネートされた洋画で気になるものも多いので初速頑張りたい。
今年もゆるかに嵐も二宮くんも応援しつつ、自分の好きなエンタメや洋服やコスメを好きなタイミングで摂取していきたいです。おすすめがあったらたくさん呟きます。よろしくお願いします。