愛がたどりつく場所

完全なるぱる!フラットににのみやくん!

2023年も映画と主題歌を考えた 上半期

 

こんにちは。ぱるです。

今年はもう二ヶ月も前に上半期が終わっておりますが、映画を今年も元気に観ており、やっとこさ映画感想まとめ終わったので備忘録的に投稿します。

 

bi9rii.hatenablog.com

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あと4ヶ月ちょっとで今年が終わるって??はやいよお、、、

 

1. ケイコ 目を澄ませて

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耳が聞こえないボクサーの実話をもとに描いた人間ドラマ。生まれつきの聴覚障害で両耳とも聞こえないケイコが、下町の小さなボクシングジムで鍛錬を重ね、悩みが尽きず言葉にできない思いが心の中に溜まっていき、不器用ながらも実直に生きていく人間ドラマ。

昨年末に観に行きたかった分を上映終わる前に滑り込みで鑑賞。予告の段階でめちゃくちゃ良い岸井ゆきのちゃんの演技が見れる…と思って見に行きました。ボクサーでありながら聴覚障害を持つケイコ。ほとんど喋るシーンがないのに表情と目だけでみせる演技がとにかくすごかった。マスクで喋り声がわからない、警察に障害手帳をみせてもわかってもらえない、怒鳴られても気づかない、遮断機の音が聞こえない、聞こえない分自分が立てる物音が大きくなる…耳が聞こえないことによるさまざまな障害がたくさん描かれていて、世間は冷たくてもケイコのまわりには受けとめてくれる優しい世界がちゃんとあるんだなと安心しました。

映画の作りがものすっっごく渋かった。ノローグが一切なく、主人公がほとんど喋らないのにこんなに気持ちが伝わってくるのが不思議。派手な展開があるわけでもないのに、言葉にならない闘志と葛藤で心が満たされていくような。聴覚障害のある主人公だからか、音響効果がすごく印象的でした。特にジムのシーンではスパークリングの音、トレーニング器具の音、縄跳びの音、足音などの雑多な音が重なって響いてる。そして16ミリフィルムで撮られたざらざらとした質感がこの街の景色にすごく似合う…。

ケイコがスパークリングをうつシーン、トレーニングをするシーン、キツそうなのになぜか楽しそうなケイコを見て泣きそうになる。ケイコが手紙を渡しに行こうとすると会長が目が見えないながら画面にへばりついてケイコの試合を復習している姿が見えて泣きそうになってるケイコの姿を観てまた泣きそうになる…からの会長と鏡越しに練習でも崩壊してしまいました。ケイコが目を澄ますように会長は耳を澄ませてたんだろうな…。

会長の奥さんから会長が病気でジムをとりはらう話を聞かされ、「言ってることわかる?」と言われえた時の唯一ケイコが言葉を発した「はい」という聞こえないような返事がしんどかった…。さらっと土手で出会った少し反則を感じた対戦相手との挨拶の虚無感、そして土手を駆け上がって走り出すケイコ、この時何を思ってこの後どうしたんだろう…負けたくないと新しいジムにいけるといいな…。

出ている役者さんがみんっっな自然で驚きました。もし映画全体の最優秀役者演技賞(なにそれ)があるなら去年は間違いなくこの作品だったのではないかと思う。岸井ゆきのちゃん、去年本当に色んな映画にひっぱりだこだったけど、間違いなく女優人生を代表する作品になるし、是非ともアカデミー賞とってもらいたいところです。(おめでとう!!!!!)

LOVE PSYCHEDELICO:「a revolution  

何気なく聴いてたら歌詞が全部ケイコにしか聞こえない!これがエンドロールで流れてきたら泣いてしまうなというメロディーライン。

Are you happy now? 感情を胸にしまって smile

それじゃどうしたって sad 悲しみは腹で笑って lie

Don’t let me down Don’t let me down  

Well, l’ve got to fly 行く先を見失って while

夢を追い越して cry ありふれた日々を追って run

A revolution

A revolution

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2. イニシェリン島の精霊


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住民全員が顔見知りのこの島で、長年の友人から絶縁を言い渡される。理由もわからないまま、事態を解決しようとするが、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言し頑なに拒絶をする。人の死を予告するというアイルランドの精霊をモチーフに描いた人間ドラマ。

終始ずっと穏やかじゃない空気が流れていた映画。なんでかちゃんとした理由が告げられず、「急にもうお前は友達じゃない、話しかけるな、絶交!」に本当に小学生かよ!っていうツッコミを入れたくなりますが、徐々にその理由が「お前の無駄話はつまらなくて退屈だから老後の余生をもっと楽しみたい」というもので、"自分が優しかった、良い人だったという印象は周りの人だけにしか覚えていられない"、"そしてそれは数年しか記憶に残らない、ただ音楽や作品は残り続ける"…そんな理由もまぁね〜よくあるよねえ〜となりつつ、でもそれがこんな小さな孤島のただのお爺ちゃんに通ずるのかな…?とは思うけど。

それだけが理由で絶交されてしまうパードリックも可哀想なのですが、物語が進むにつれてパードリックのつまらなさというか、勘の悪さというかコミュニケーションの下手さというか、こいつダメな奴だな…?と明らかになってきて、これは…もしかして無理もないのか…?という気にもなってくるのが面白い。「お前はつまらなくないよ」とそれを良しとしてきた島の人間も罪深いのです。そして二人は仲が良かったとパードリック自他共に認めていたのですが、この作品は二人が仲の良かった前日までが回想シーンもなく全く描かれていない。これがまた、本当に仲が良かったのかな…?そう思ってたのはパードリックが一方的なだけだったのでは…?という気にも感情をゆさぶられるのが絶妙で面白かった!スピード感が早いと思いきや、ずっとこの一つの絶交だけで何も進まず2時間足踏みをし続ける作品だったのも挑戦的。

段々とパードリックが怒りから徐々に人が変わっていってしまうところがすごく面白かったです。そして島の向こうの内戦のように1人の男のきっかけで人生が狂わされるという題材。妹もヤギも同じタイミングで失くしてしまうパードリックに同情しながらも、仕方ない奴なのかも…と同時に思っちゃうから難しい。パードリックがずっと我慢をしてきて、久々に怒りながらもコルムと話せたところ、怒りのぶつかり合いではなく、久々に自然と普通に楽曲の会話をしてしまったところ、なんだかめちゃくちゃ泣きそうになってしまいました。が、その後に余計な一言いっちゃうのが、もーー馬鹿野郎パードリック!!と笑ってしまったけど。

ドミニクの手や顔の動きがすごく上手い演技だった…なにかしらコミュニケーションが下手そうな雰囲気。妹も良かったし、もし映画全体の最優秀役者演技賞(なにそれ)があるなら間違いなくこの作品なのではないかと思う(2回目)。切り落とした指がリアルすぎてうえー!と目を逸らしたくなる、指って投げたらああいう音するのかな…。あと動物たちが印象的ですごく愛らしかった…。ドミニクは本当に足を滑らせただけなんだろうか…。

この穏やかじゃない感じ、まさにスリービルボードの監督、という感じでした。この独特な空気感と自然の切り取り方は、なかなかない作品かと思うので映画館で体験できてすごく良かったです。複雑だから賛否両論ありそうだけどなんだか不思議で面白かった〜。

betcover!!:「あいどる  

このいなた〜〜い雰囲気のメロディーで。

あいどる

あいどる

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3. #マンホール

 


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営業成績ナンバーワンで社長令嬢との結婚も決まっているという幸せな男が結婚式の前夜にマンホールに落ちてしまった苦闘を描いたシチュエーションスリラー、というシンプルすぎる設定。JUMPくん担の幼馴染から舞台挨拶付きチケットを誘われて観に行きました。

まぁまずマンホールに落ちたワンシチュエーション映画というところである程度わかってはいたものの、トンデモ設定の連発!なんですけど結構どれもネタバレになりかけるものばかりなので名指しはできないんですが…。笑 去年の「"それ"がいる森」的にネタバレ厳禁ではあるけどそれ一本勝負ではないというか、わかった上で結局どうなる?というのは守られていた点が近かった気がする。

それでもってこのトンデモ設定からの終盤のトンデモ背負い投げ(技名)、監督がマスカレード・ナイトの熊切和嘉さんと聞いてかなり納得しました。このライトめな不穏さと誰が犯人かという撹乱のさせ方、そしてトンデモ背負い投げ(技名)、、なので思っているよりも見やすいんじゃないかな〜とも思いました。99分と短い上映時間なのにドッと疲れますが!笑 あとグレーディングの具合とかもめっちゃくっちゃ熊切さんって感じでした。黒の締め方とかコントラストとか。

劣化した梯子を登ろうとして足を挫いてしまったり、排気ガス的泡がぶくぶくと出現したり、近くを蜘蛛がサササーッと通ったり、丁寧にマンホールの中で起こりうる事態が描かれていたと思いました、なんだか薄暗くて臭そうな雰囲気とかね…。ワンシチュエーションなのでここでのこだわりがすごかった。スマホを動画撮影にして真上へ投げて地上の様子を確認するアイデア、なかなか画期的だけど何回もそれやるので真上に投げるのなかなかの上手さ。あと足を骨折してしまいどうにか応急処置しなきゃ…って時にカバンの筆記用具入れからホッチキスが出てくるなかなかの女子力。良い感じに同僚が結婚祝いにライターくれてたり。色々詰めちゃうと都合良い展開はそりゃ仕方ないんですが!

中島くん、このなかなかの一人芝居かなり頑張っていたと思います。普通の映画の主演よりも、より主演の演技次第なところがあってプレッシャーもありかなり大変だったのではないかな。確かに中島くんの風貌だと順風満帆なサラリーマン役が似合う気がするので、そこからどん底に落ちた時(いろんな意味で)、どう足掻くのかという演技が面白かったです。でももうちょっとまわりのサブキャストたちが生かせる内容だったらよかったのになー!とは思いました。この作品、一人舞台でやったらかなり面白いんじゃないかな?

あと舞台挨拶で生で中島くんを見てでか〜って思いましたが、もしかしたら隣の熊切監督がちいさ〜だったのかもしれません。

King Gnu:「どろん  

King Gnuのミクスチャーロックの音使いとマンホールの底を表せそうな歌詞がビビッときました。

人生にガードレールは無いよな 手元が狂ったらコースアウト

真っ逆さまに落ちていったら すぐにバケモノ扱いだ

其処を退け 其処を退け 今じゃ正義か悪か それどころじゃないんだ

どろん

どろん

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4. ちひろさん


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弁当屋さんで働く元風俗嬢の女性・ちひろの誰に対しても分け隔てなく接するその軽やかな生き方から、それぞれ事情を抱える人たちの生き方に影響を与えていく、ヒューマンドラマ。監督が今泉力哉さんということもあり、作品の制作が発表になった時からずっと観に行きたいと思っていました。Netflixだけじゃなく劇場公開してくれてめちゃくちゃ嬉しい。

作品はやはり映画向けに作られているわけではないので、かなり短編的にちひろさんが出会う人ごとにブロックがなんとなく分かれていました。そこから別の話でも前のキャラが出てきたりとかはありますが、あくまでサブ的扱いというか。いろんな人と出会う中でちひろさんの幼い頃からの過去も少し見え隠れはするのですが、別軸の話が短編的に切り取られている分過去パートにはなかなか集中できなかった気がする。でもちひろさんの軽やかな人柄やなんでもお見通しな雰囲気が終始漂っていて、見ていてかなり穏やかな気持ちになりました。有村架純ちゃんがこの役柄を「自分が近づくと離れて、近づくと離れてという、磁石のような近づかせてもらえない存在」と表していました。

原作も途中まで読んでいたのですが、キャラクターのイメージもバッチリだったと思う。平田さんの演じる店長とかハマり役すぎる。それにしても平田さんと風吹ジュンは何回夫婦役やるん…??オカジちゃんはめちゃくちゃ永野芽郁ちゃんに似てた。あと内海演じるリリーさんの危ないイケオジ感…めちゃくちゃカッコよかったな。配役みんながハマり役でした。何度も言うけど有村架純ちゃんは歳を重ねてどんどん素敵な役と作品を選べている気がして、人や作品に愛されてるんだろうなと思います。もっといろんな作品を観てみたい。

短篇的にそれぞれが描かれているため、重要で素敵なセリフも沢山押し寄せてきて全部覚えてられない!笑 ちゃんと覚えてないけどなんか良いこと沢山言ってた気がする!!という感想になっちゃう。こういうとこでNetflixだと何回も反復できるんだろうな…。そんな中でも私が唯一覚えてられた素敵なセリフは、リリーさん演じる内海が電話で飲みに誘った時に、「行かない、今海の底に沈んでるから」「まぁそのうち浮かんでくる時がくるさ」「それって死んでるってこと?笑」「どうだかな笑」みたいなやりとりが印象的でした。私はホームレスの話が好きなので、序盤に丁寧に描いてくれていて嬉しかったです。マコトと母親の焼きそばのくだりも良かったな。母親にマコトへの愛情がないわけではないところが素敵なんですよね…。

ちひろさんってまだ連載中の短編ストーリーなので、これどうやって終わるんだろう?このままの日々を流し続けるのかな?と思っていたら、結構驚く結末の締め方で、こういうところは映画的な明確な終わりというのを結んでいるのか…!と私的には結構意外な物語の閉じ方でした。

あとエンドロールも終わって席を立とうと準備している中でラストのラストに流れるおまけ的ラーメン屋でクレーマーを追っ払った後のやりとり(映画館限定らしい)。店主がさっきのお礼です、とお兄さんに餃子を一皿サービスし、「食べきれなかったら半分もらいますよ」とちひろさんが自分の皿に半分取り分ける。注文の時は普通ですと言っていたのに、その餃子が結構大きい。

ちひろさん「餃子、大きいですよ」

店主「ありがとうございます」

ちひろさん「餃子、普通じゃないですよね」

店主「ありがとうございます」

ちひろさん「そのありがとうは、何に対して?」

店主「…?」

お兄さん「(店主に向かって)あの、多分褒めてないです」

ここのやりとりがめちゃくちゃちひろさんって感じで、もしかしたら一番好きなシーンだったかもしれない。くるりの音楽も最高だったなー!!

サニーデイ・サービス:「青空ロンリー  

主題歌のくるりも相当良かったんですが、他考えるならサニーデイのこの曲がちひろさんを表してるようにも聴こえてきます。

青空にひびが入り 水玉がこぼれた きみの悲しい顔は 見たくないよ

だから笑っておくれ ぼくに笑っておくれ Baby Baby

青空ロンリー

青空ロンリー

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5. フェイブルマンズ


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初めて映画館を訪れて以来映画に夢中になった少年サミーが、家族や仲間たちと過ごす日々のなか、人生の一瞬一瞬を探求し夢を追い求めていく。両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを通じて成長していく、世界中で愛される映画の数々を世に送り出してきた巨匠スティーブン・スピルバーグが映画監督になるという夢を叶えた自身の原体験を映画にした自伝的作品。

何個か後の映画人生においてポイントポイントになるシーンがあるのですが、自伝的だからかそこまで劇的なことは起きない。だけどその積み重ねがスピルバーグを作り上げていったのかな〜〜とか考えちゃいました。全体を通して一番印象的だったのは、色んな「予感」だけでほとんど成り立っていたことです。何かをコレ、と決定付けるようなセリフや行動はないのに、その空気、予感だけで出来上がっていたところが本当に凄かったし、私はその予感で漂わせて受け取ることこそ映画の魅力でもあると思っているので、その構成に感動しました。「映画監督になりたい!」なんて明確なセリフやシーンは一度もなかったし、母親とおじさんがもしかしたら恋仲なんじゃないかと言及するセリフや明確な行動もなく。観ている側の感情や理解力も同時に試されているような感覚にも思えた。

冒頭の冒頭でお父さんが映画館の前で、映画館で観る映画はどれだけ魅力的なのか興奮からか早口気味に説明をするワンカットがすっごく良くて、鑑賞側にも早速訴えられている気にもなり、なんだかもう既に泣きそうでした。初めて映画館で観た映画の列車の衝突シーンが忘れられず自分で再現したく最初はプラモデルに興味を持つも自然とその"シーン"を撮影する方に興味が絞られる心の機微。また青年期に戦争映画を撮影したくて、仲間を失った兵士役に必死に状況と心の描写を演じてもらおうと必死に説明してるシーン、これも後の監督業の礎なんだな…とかジーンとしちゃったり。

また映画監督の道とは別軸で家族愛が大きなテーマとして描かれていて、芸術肌のお母さんと堅実技術者なお父さんの比較とそこで挟まれる葛藤が多かった。こじれ方も決して綺麗ではないからリアリティーがあったのかもしれないけど、入り込みすぎてちょっと邪魔に感じるところもあった…。

そんな家族が分離しそうな原因となった、たまたまキャンプの撮影で撮れてしまった母親とおじさんの様子。決定的ではないのになにかを予感させる表情。そしてその部分を隠して楽しい思い出だけを切り取り、母親を喜ばせるムービーを作る様子は、まさに映像は真実を映すことができるけど、美化することだってできるんだな…としみじみ感じたシーンでした。もう一つ顕著だったのは、卒業式に流す思い出映像でいじめっ子がすごくカッコよく映し出されていて、「あんなのは俺じゃない、自分が胡散臭い」とサミーに向かって怒鳴り泣くシーン。サミーは「5分でも友達になれればと思ったのに。映像の中はめちゃくちゃ素敵なのに、本物の君は世界一最低だ」と言い返す。いじめっ子にそんな葛藤が生まれるのか…と意外だったし、これもまた奇しくも映像(映画)の魅力がわかってしまう場面となっていて、ジーンとしてしまいました。

あとラストシーンが本っっ当に良かったです。偉大な監督との出会い、そこで一言発せられる地平線の話。からの外シーンの粋な演出…。はー最後だけでももう一度観たいくらいおしゃれで素敵な終わり方でした。

星野源:「Family Song  

この話は全体的に家族愛を捉えていたのかもと思って、Family Song。この曲のイントロがあのラストシーンにかぶるとまた泣けそうです…。

Family Song

Family Song

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6. ネメシス 黄金螺旋の謎


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探偵事務所ネメシスを舞台に、天才探偵助手と、天才を自称する探偵、大ベテラン探偵がさまざまな依頼に挑む人ドラマシリーズの映画化。「窓」と名乗る正体不明の男が現れてから、大切な仲間たちが次々と生命の危機にさらされていくミステリー。 嵐のメンバーの映画は何が何でも見に行く私ですが、ネメシスはドラマシリーズを確か完走したような気がする作品です。(多分途中数話観てない)なので作品のテンションとかはすんなりついていけた気がする。今回のお話はこれまでに出てきたお馴染みのキャラクターたちが主要キャラとして出てくるので、そしてそのキャラクターの丁寧な説明もほぼなかったため、もしかしたらドラマ観ていなかった人はかなりついていくのが大変なんじゃないか?と思います。

今回のテーマは明らかに”予知夢”でした。この一本に絞って事件の発端や仕組みを何度も丁寧に描いていてすごく観やすかったです。周りのお馴染みキャラクターたちがどんどんと殺されていくような予知夢描写とか、すごくテンポ感がよくて私的にはワクワクしたし綺麗に感じました。ただ発端を丁寧に描きすぎてラストの落とし所や肝心の真相解明部分が慌ただしく粗いのかな〜とも感じた…。あと全然伏線だらけではなかったと思う!笑 なんでわざわざ謎解きイベントみたいな気づいて欲しい場所にしたの…?

結局どちらの悪役(見せかけもホンモノも)もそのデータを使って具体的に何をしたかったのかがよくわかりませんでした。そしてまとめとなる風真の提案。同じ方向を向いた時に初めて完成する、というのですが、どういう方向を各国が向くことが良いのか具体的な提案はされずとにかくハッピーな平和を望む、あとは任せた!的な落とし方にしたのがちょっと粗く感じた要因の一つかもしれない。佐藤浩市演じる「窓」はなにがしたいのかよくわからない…黒幕感が薄いというか?お馴染みキャラクターの真相みたいなのも後々明らかになっていくのですが、いやドラマ版からずっと私は安心できてなかったですけどきっと他の視聴者もそう思ってたんじゃないかな…??仲間感を全く感じないんですもん…。

黄金螺旋の方程式、外側はすごく広いけど縁を描きながら急に中心に近づいてくるという仕組みを利用して、お馴染みキャラクターも自分に遠い存在順に殺されていく流れで近い存在の人が風真と栗田の次がお弁当屋の2人になっていて笑いました。そんなに近い存在だったのかよ!あと盗まれたプレミアフィギュアの店主急に誰…?って思ったけどもしかしたらドラマに出てきた人なのかもしれない…笑

すずちゃんがとにかく頑張っていて、すずちゃんに任された映画だと感じます。アンナの服装の組み合わせがオシャレで好きです。あとカーアクションに気合が入っていてよかったです!しかも何度もいろんな種類あるので、いっぺんにカースタント会社にお願いしたんだろうな…と思いながら観ていてとても気持ちよかった。最後の還暦祝いのシーン、もう物語も終わりろうとしているのにあまりハッピー感のない画面の色味や音楽が意外でおしゃれだった。エンドロール前のワンカット、狙ってる感がすごいですが(これがやりたくて何回も擦ったような)、まぁまとめとしては良いのかな…?上映時間はこれ以上長いと絶対だれそうなので大正解だと思います!

結局なんでトマトだったん??

嵐:「モノクロ  

嵐で主題歌を考えるならミステリアスさとちょうどいいポップさが混ざるこれかなぁ〜と当ててみました。サビから急に明るく転調する感じがまたミステリアス。驚いたんですが、ネメシスは嵐が活動休止した後の作品だったのか…。

モノクロ

モノクロ

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7. ロストケア


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連続殺人犯として逮捕された介護士と検事の対峙を描いた社会派サスペンス。多くの老人の命を奪ったことを認めるが、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張。「現在の⽇本が抱える社会と家族の問題に正面から切り込む、社会派エンターテインメント映画」。

毎分毎秒考えさせられる問題ばかりでなんだかぐったりと疲れました…。上映後の映画館みんな席を立つのが一苦労な感じ…笑 ぐったりと疲れたんですが、上映中に改めて問い直して考えることが、自分にとってかなり有意義な時間であったのは間違いないと思いました。介護の難しさがいっぱい描かれていた。放っておくことさえも殺人なのかもしれないんだなと。「愛情と疲労の狭間」「絆は呪縛」という台詞がずっしりと重くはっきりと覚えています。冒頭の万引きをした常習犯のおばさん、「刑務所のほうが人間らしく生きれる気がする」と刑務所に入りたがってる人も少なくないんだろうなーと。

介護士の殺人犯の斯波はお父さんの介護を献身的に続けていたところ、ついにお互い壊れてしまい、介護される父さん側からの「親のままで、お前を忘れないうちに死にたい」という台詞も辛かった。親が自分を忘れた時に殺せた斯波。「自分たちが行う人殺しは罪、国が行う人殺しは救い、まるで戦争のよう」「何人もの自分と何人もの父を見てきた」辛い…。こう、見えるものと見えないもの、でも本当は見たいものと見たくないものに分かれているんだなと、グッと考えさせられた。ずっと台詞に目が離せませんでした。

演出的な面で言うと、カメラワークのアングルがちょっと鼻につきます。お話は検察側と殺人犯が対立構造になっているのですが、どうにも検察側が弱い。あと抜け穴が多すぎるところは仕方ない?あれだけ周りで人が一気に亡くなっていくのになんで誰も殺人と気づかないのか、あとなんで毎回シフト休みの時に殺しに行くんだよ!バレバレじゃん!そんでもって防犯カメラにモロ映りて!

柄本明の壊れていく介護されるお父さん役がもうすごすぎて圧巻です。鈴鹿くんの検事補佐も物語を邪魔しない演技でとてもよかったです。マツケンの得体の知れなさもかなり役作りしたんだろうなーと感心する。あと介護センターの若い女の子もすごく良かったな…。

何か問題解決したかは結局答えは提示されませんでした。いやでも一個しっかり言えるのはやっぱり斯波の殺人は救いではないと思う。もし介護される側が望んでいたとしても、他所に他人が絡んで殺すというのはやっぱり違うよな、あなたが口を挟んでいい話ではないよな、と改めて思いました。なにも一つのちゃんとした答えは提示されなかったけど、そんな簡単に答えが出せたらこんなに困らないですよね。私は日本社会がなかなか触れられなかった介護問題の難しさを正面から向き合っただけでもすごい作品だなーと思えました。

最後の方で覚えていた「お互いに迷惑をかけあって生きいていく」という台詞、もしかしたらそういうことでもあるのかもしれない。

藤井風:「もうええわ  

何気なく選んだけど自由に解き放たれるような歌詞がこの映画っぽく聴こえちゃうマジック…。

もうええわ 言われる前に先に言わして

もうええわ やれるだけやって後は任して

もうええわ 自由になるわ 泣くくらいじゃったら笑ったるわ アハハ

もうええわ

もうええわ

  • 藤井 風
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8. BLUE GIANT


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人気ジャズ漫画のアニメ映画化。ジャズに魅了され上京した主人公が、高校の同級生、凄腕ピアニストと一緒に3人組バンドを組み、日本最高のジャズクラブに出演して日本のジャズシーンを変えることを目標に、必死に活動を続けていく青春ジャズストーリー。今年2月公開で漫画の頃から気になってたのですがなかなか観る機会がなく、そんな中殿が最近ブルーノートで鑑賞したと聞いたので、殿が観たなら私も観ねば…!(家臣)とすぐに観に行きました。殿パワーすごい。

映画は当たり前ですがものっっすごい漫画でした。でも友情・努力・勝利!というより、友情・友情・努力・努力・努力!!!という感じで、より透き通った漫画。主に3ピースの天才ピアニスト・凡人ドラマーがまっすぐな主人公の姿に影響されてそれぞれが努力して友情を深め技術を高めていくストーリーだったなと。主人公の大は本当に主人公感の強い男の子で、多分影のある人からするとその姿が眩しすぎて嫌になる程だろうな…と感じる。3ピースバンドには他に幼馴染の男の子が急にドラムに目覚めて初心者から始める子がいるのですが、すでに才能のある主人公・弾かれたレール通りに上手いピアニスト・それに置いていかれるドラマーの苦悩…というのが、一般人からすると如実に辛かったです。漫画から入ってない人は余計にそう感じるのかもしれない?

幼い頃から天才だったピアニストがソーブルーのオーナーにバーで演奏をめちゃくちゃに言われる雪祈のシーン、本当にそういうところダメだったよなすごくわかる…。ボロクソ言われる、言ってくれる存在ってもしかしたら大事なのかもなと思わされました。その後の飛躍した雪祈の演奏シーンはめちゃくちゃかっこよかったです。本当にピアノの演奏気持ちいいな〜と思ったけど上原ひろみパイセンだったもんね、そりゃそうや…。最後の方のジャズシーンなかなかの漫画展開ですごかった、あそこで雪祈冒頭の片手演奏が生きてくるのなるほどな…!と。最後にタイトルのブルージャイアントへまとめる、綺麗な構成でした。間宮くんの声優うまかったなぁ。

ちなみに私は中高と吹奏楽部でアルトサックスを吹いていたので、めちゃくちゃ懐かしかったです。楽器の手入れの仕方とか指遣いとかタコができる場所とか…。私はセルマーは高くて買えないからヤマハのボディにセルマーのマウスピースでした。あんな冬場に外で吹いたら楽器死んじゃうよ…。大すげえよお…。

ただ一番気になったのは普段の会話パートと演奏パートの作画の違いでした。人物の演奏シーンの作画の変わり具合が、なかなか集中できない…。なんだか急にウネウネ滑らかに動き出すのがびっくりする。最近はこういう演奏やダンスになるとうねっとするアニメーションが多いと思うのですが、こういうところ結構大事なんだなーと感じました。もっと馴染んでくると私みたいな一般の人もリアルなアニメをもっと見たくなるのかなとか…。そういえばチェンソーマンのアニメーションはこういう塩梅がめちゃくちゃうまかったイメージがあります。そんなに会話パートと変わらず滑らかにナチュラルだった気がする。あともう一点は、ジャズの盛り上がり具合を抽象的な絵で表しすぎていて、わかるけど多用しすぎな感じもあったのかも…?サックスのホーンに入り込んでいく表現を何回も見た気がする!笑 もっとシンプルに見せるだけでも十分に演奏の凄さが伝わるのになーと思いました。途中で線画になるのすごくかっこよかったです!

SPECIAL OTHERS:「Aims 

爽やかで本編を邪魔しない青春感がある!

Aims

Aims

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9. 渇水

 


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白石和彌監督が初プロデュースを手がけ、生田斗真を主演に迎えて送る人間ドラマ。市の水道局に勤める主人公が、水道料金を滞納している家庭や店舗を回り料金徴収か水道停止する業務に就いており、育児放棄を受けているある幼い姉妹と出会った彼は、その姉妹を自分の子どもと重ね合わせ救いの手を差し伸べる、というお話。この映画たしか昨年秋に公開予定で結構楽しみにしていたのですが、勝手に公開日が延びてやっとこさ今年公開されたので見に行きました。あと怪物と同日公開だったので先にこっちを!

「停水」という作業が妙にリアルで、様々な理由で水道料金を払えない人々になんとも言えない感情になりました。自分勝手な理由もかなりあるんだけど、家庭環境とかもあってでも国民の義務だし…とか色々考えちゃう。劇中にでてくるクドカン演じる市民が「電気は待ってくれないけど、水は待ってくれる」と言うセリフがあるのですが、水道は人情なんだなーと、だからなかなか支払わない人も多いんだなと感じました。出会った姉妹は母親の身勝手な行動が原因で育児放棄されるのですが、お母さん的にも酷すぎるわけではなく、子供を養うために苦労してるとみせるのが結構斬新だったなと思いました。

「可哀想」な幼い姉妹を見て、それでもやっぱり人情を感じてはいけない、という水道局員の斗真演じる岩切。感情を表さないような演技で、でもなにか心に溜めていることがあるような表情が人間の感覚を失ったわけではないとわかります。でも子供達につけいるとどんどんその保護が止まらなくなる、というのは確かになぁ…と思う内容だった。岩切の家庭環境がちょくちょく挟まって同情が生まれていくような流れだったけど、ちょっと邪魔?というか安易で、親の立場というより同じ子供体験のほうを掘るべきなような気もする…。岩切が親からされた行動がなんなのかが明確に描かれずモヤモヤする。岩切でもバスタブのお湯で水やりしたり顔洗ったり、ちゃんとめちゃくちゃ真面目に節約しててえらい。

幼い姉妹のお姉ちゃん役、笑っているより不幸な顔が似合ってしまい、悲劇が似合うところがまた残酷だな…と思ってしまう。少し「流浪の月」を思い出したのは女の子が似てたからかな? 冒頭は姉妹の演技どうなんだこれ…と思ったけど悲哀が似合いすぎて。あと後輩役の磯村くんがめっっちゃくちゃ良かったです。ケラケラした、でもちゃんと真面目に仕事をこなす表情が良い!真面目な役からライトな役までなんでもできる俳優だなーと思いました。

一番すごかったのが、監督の季節の空気の作り方がめちゃくちゃ上手かった…!真夏のジリジリとした音、汗、表情、蜃気楼…どれをとっても"日本の夏"で、見ているだけで喉が渇きそうな街並みでした。

最後のほうのたかが外れたように小さなテロを起こすようなシーン…現実離れしすぎてここはちょっと引いてしまった…。でもここら辺でかかる向井秀徳の音楽が悔しいけど爽やか…。なにかこれで岩切自身が会心されたんだろうか?逆に社会的にダメなことのような気もするけど…なにか捕まったことの連絡がいって変わったと思ったのかな?と結構謎が多いです。

銀杏BOYZ:「骨  

向井秀徳に並ばせるなら銀杏なのかなとか…。お母さんなのか、姉妹なのかの思いに聴こえてきたりします。

東京タワーのてっぺんから、三軒茶屋までジャンプするー。

骨

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10. 怪物

 


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是枝裕和×坂元裕二×坂本龍一という日本を代表するクリエイターのコラボレーション。平穏な日常のなか学校で起きた喧嘩を、当人たちの主張が食い違い、息子を愛するシングルマザー・生徒思いの学校教師・無邪気な子どもたちの視点が関わりながら次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していくプロローグ。賞を獲っちゃったので観るの遅らせようかな…と思ったけど案外早く観に行けました。

ほぼ前情報を入れずに観に行ったのですが、完全な時系列を描く視点構成型でした。最後の決闘裁判、コンフィデンスマンJP、悪なき殺人…と本当に最近の映画の主流だな!と感じます。いや私がこういう構成型に出会う率が高いだけ?笑 こういう構成ものってすごく観客を引き込みやすいというか、ある種トリック的になっているので面白い!と感じさせるのに騙しやすいんじゃないかなとも思ってしまいます。まぁまんまと面白いんですが!今回は今までの視点構成型と違うのは、その切り替わりがめっちゃくちゃ自然だったところです。暗転が入るわけでもタイトルが入るわけでもなく、説明的な合図なく次の視点に移動してるので、よりあれ?これってもしかして…という気づきがあるのが面白い。その中心に「近所の雑居ビルの火事」というのがあったのも良いポイントだなーと思いました。

ただその分最初の母親の視点ではまだあまり謎解きがされていないまま、最初だから事細かに出来事を描いてる場面が長く結構ストレス?も溜まったかも…子供があまりにも何考えてるかわからないというか。だからこそ母親はああいう詰め寄る態度とっちゃうのかな? でも母親目線の保利先生と、保利先生目線の保利先生、あまりにも違いすぎない??笑 人が違いすぎてあれだけ普通の先生やってるならもうちょっと抵抗できたやん… 飴舐めるのなんだった?とナチュラルな分若干無理矢理なところが引っかかりました。

そして最後の最後に子供たちの視点。先生の視点までを通るとなんとなくこの子供の視点内容は想像がついています。 「変わり者」として育てられてきた星川くんと、いじめとの狭間で心がゆらぐ麦野くん。 なんとなくで二人は仲良くなっていくもんなのかなぁ、あんまり皮切りになる特別なシーンは描かれてませんでした。二人で過ごす秘密基地、なんだか終始子供の頃の憧れを詰め込んだような時間が流れていました。前に秘密基地の山の先の方で見つけた立ち入り禁止の線路、 最後に台風で道が開かれるようになる演出は爽やかでした。

でも結局最終的にどうなったんだろう???笑 引っ越しはなくなったわけでもなければ、親に見つかった描写があるわけでもなく雨あがりを迎え、 なにも直接的な結末は描かれませんでした。理屈で済む話が少なく感情だけでその場の成り行きだけで進むことが多かったので、その雰囲気だけで終わるのが人によって賛否両論わかれそうです。あと校長先生のシーンはそこまでいるんだろうか…キムラ緑子出したかっただけじゃない?とかも思っちゃうよ!笑 

あと、「怪物誰だ」のゲームの演出がめちゃくちゃ良かった!頭の上でそのモノを掲げ、「私は◯◯ですか?」と問うゲームのルールにのっとって、自分自身の正体を話していく上手さ。こういうところがもしかして坂元裕二らしさなのかなと思います。 でも坂元裕二脚本にありがちな、見る人を選ぶ独特な台詞回しは今回かなり少なかった気がします。 子供相手だったからなのかな?是枝さんはマジで子供に演技をつけさせたら世界一なのでは??子供たちがいきいきとして見える。子供同士のシーンの見せ方がいやらしく感じなく素直に見れるのです。

土岐麻子:「傘  

劇中の台風のあの日を思い出させるかのような、雨の描写が綺麗だなと思いました。

きみを傷つけるような悲しい出来事を

そっとよける傘になって 守れると思ってた

いつかこの風がやんだ頃

きみはその新しい愛も 捨ててしまうのでしょう

やさしさ 思い出さずに

傘

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ということで、上半期は10本観ました。

映画は感想まとめておかないと観た気にならないので、上半期分ちゃんとまとめてられてよかった…!!下半期は自分の仕事環境変わったりいろいろ忙しない状況なのですが、私は映画というより映画館が好きなので(家じゃ全然映画観れない)、息抜きとして観たい作品はちゃんと映画館へ通いたいと思います。

 

いやマジで映画館料金どうにかしてーー!!!!