愛がたどりつく場所

完全なるぱる!フラットににのみやくん!

2021年も映画と主題歌を考えた

今年も映画館で観た映画感想まとめ記事をあげます。あと毎回主題歌も考えてみてます。さっき調べてみたら、私これ2016年からやってるんですね、驚き…!

去年はコロナのせいもあり年間4本とかいう不甲斐ない結果だったのですが、少しずつ映画館も環境が改善され、コロナ前ほどには戻れてないけど、今年は去年よりは多く観れたので、その備忘録です。

 

1.花束みたいな恋をした

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今年の1月公開で真っ先に話題になった作品でした。私的には、「まさに坂元裕二小説がそのまま映像になったような作品」という印象を受けました。描かれていることはあまり映画的な展開や劇的なことが起こるわけでもないのに、こういう普遍的な誰かが共感できるような(自分に重ねてしまうみたいな意見も多くて話題になりましたよね)内容がちゃんと映画になるというのは良いことだなぁというのと、そういうのがやっぱり坂元裕二はうまいんだろうな〜と素直に思いました。その辺が支持される見事さな気がします。「電車に乗るではなく、揺られると言った彼」とか、超坂元裕二じゃないですか…?(笑)一人語りが心地よく進むのも珍しい。

時の流れを時間軸で描いているのと、そこにちゃんと現在の世界で起きている時事やサブカルが数々の実名の固有名詞を通して入ってくるので、どれもかなり効果的になっていたと思う。ちゃんと同じ世界線で麦と絹が暮らしていたのでは?と思わせてくれるような。冒頭とラストのフレンズの描き方も時の流れとしてなるほどね…という。冒頭にイヤホンを挟むことで、イヤホンのプレゼントが出た時にあーあぁ…と思ったり。

この映画としては独特な世界観を作り上げる2人もすごく頑張っていたと思います。有村架純ちゃんは声が本当に心地いいですね。私の仕事の状況も相まって、劇中で登場する「社会性と協調性は、才能の敵だからな」というセリフに、はあ???それを両立させなきゃいけないのが才能だろ!!ふざけんな!って心の中で怒りに満ちました笑ってください。あと個人的には趣味がどんどん息抜きにならなくなる麦に、エーンわかる…ともなった。

ただこれだけ趣味や気持ちが一緒なのに、そんなに思っていることの価値観が一緒じゃないとうまくいかないのかな?お互いの折衷を擦り合わせていくことも必要だし、やっぱりなんだかんだ他人なのだから、そこの距離感を楽しめない??とも思ったり。ラストの終わり方は急に映画的でビビりました。「猫は僕が〜」で終わってもよかったのかも…?

学生の時って好きなものの話題でしかほぼ話をしていないから、そんな楽しいことだけを話して悩みに直面をしなかったからこそ、社会人になった時に急に思い知らされるんだろうなぁと色々考えちゃったり。良い映画でした。パンフレット買ったけどちゃんと読まなきゃ。

どこかで読んだこの映画に対する菅田くんのインタビューがよかったです。

好きな映画やお笑い、音楽が一緒だったことで出会っているんですが、それってお互いの内面を知っているように見えて、実際はそんなに知らないんですよね。自分が体験したこととか、感じたことで共感を生んでいるわけじゃなく、誰かが作った作品というフィルターを通してるから。1対1でのやりとりではない。距離が遠いなって思いました。

でも、恋愛ってそういうものじゃないですか。お互いのことを知りすぎていない時のワクワクってやっぱりあるし、知らないからこそ気を遣うし、合わせられる。それが楽しいんじゃないかなあ。

あとこの映画、菅田くんと有村さんがお互いを撮り合った写真をつなげた、スペシャルメイキングがあるんですが、これがまたすごく良いです。

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大江千里:「Rain」  

Rain

Rain

  • 大江 千里
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情景と歌詞がなんとなくこの映画の世界観に合っている気がしました。雨の降るシーンはほぼなかった気がするけど。

どしゃぶりでもかまわないと ずぶぬれでもかまわないと

口笛ふくぼくがついてく

ずいぶんきみを知りすぎたのに 初めて争った夜のように

行かないで 行かないで そう言うよ

 

2.すばらしき世界

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殺人を犯し人生の大半を裏社会と刑務所で過ごし13年の刑期を終えた、役所広司演じる男の再出発の日々を描いた作品。最近の西川美和さんの脚本監督作品が大好きなので、今回も絶対観に行きたいと思って、なんとか滑り込みで観てきました。

まっすぐにしか生きれない主人公の三上が、誰かを守ろうとして犯した罪の難しさを感じました。世の中で「普通」に生きていくことの難しさ、それを適当にこなしていかなきゃいけない、三上の越えられなかった壁は、普通のようでもしかして本当は普通じゃないのかもしれない、とまで思いました。

つい思い通りにいかないことがあるとすぐに怒鳴り声をあげてしまう三上に対して、誰も突き放さず見守っていた周囲の人の描き方もすごく良かったです。ヤクザの肩書きなど関係なく、三上の人間性を見ていたんだろなぁ。あと優しさに触れていく様の泣かせ方がずるい…。スーパーの店長が喜んだり、背中を流したり、お願いだから戻らないでと泣いたり、みんなからお祝いされたり、昔なら怒っていたことも素直に受け止めたり…。私なんだか中盤からずっとツーツー泣いてた気がする。本当に役所広司さんは素晴らしい役者だなぁ…と改めて感じさせられました。本当にすごかった、もっともっと役所さんの演技がみたい。

コスモスの花、廃れていくヤクザ文化、子供と生き別れた母親など、全てが丁寧で綺麗でした。自動車教習所に通う三上が務所のような行動をとってしまったり、三上の愛らしさにクスクスと笑えるシーンもちゃんとあります。

西川さんの映画的な静かな画面で語らせる描写もさすがでした。映し出す映像のやりすぎない具合や色味も好み。嵐が来て洗濯物を取り込む演出切なかった…東京タワーのいやらしくない背景や、仕事をする人間が足早に電話しながら歩道橋の階段を登っていく様を見つめる三上を映したり、仕事を始めてから三上がそうなったり…とか、演出も素晴らしかったです。音楽も本当に素敵でした。

世界は結局何一つ変わらなかった気がします。「普通」とはなんなのか、自分を押し殺しながらうまく付き合っていくことが普通なのか?それが「すばらしき世界」なのか?と考えさせられました。「大事なのは誰かと繋がりを持って孤立しないこと」「みんな人生適当に生きている」というセリフがすごく心に残っています。あとなぜ三上は身分帳をずっと書き写していたんだろう。

吉澤嘉代子:「リダイヤル」  

リダイヤル

リダイヤル

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吉澤嘉代子の声とこの曲の柔らかさがマッチしそうだと思って選びました。これぐらい柔らかくて抜けている音楽が、この作品のエンドロールを噛み締めるのにちょうどいい気がしました。

 

3.ノマドランド

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圧倒的な映像美でした。どこを切り取っても画になってしまう世界観。ずっとずっと広がっている地平線を感じました。現代のノマド(放牧民)となった人々の静かで自由な暮らしがずっと描かれます。ノマドとなった人たちエピソードそれぞれが胸に刺さり、出てくるノマドの人みんなが心が穏やかだった気がする。そういう暮らしの中にいるから当たり前なのかもしれないけど、その心の余裕?が羨ましく思えたりノマドの人がどうしてノマドになったのかを夜に焚き火を囲みながら語るシーンでは「亡くなった夫が言ってた。”人生を無駄にするな”って。だから仕事を辞めたの。死ぬ時まで後悔したくないから」という女性の言葉になぜだか泣きそうになった。

主人公のファーンは人とうまくやっている術をもっていて、それでいて自分のやりたいこともうまくこなせるので、多分どこでもやっていけるのに、そんな中で放浪の道を選んでいるのが不思議。ファーンはいつも誰かを見守る側になって、友人たちを送り出す背中が何度も映ったのが印象的でした。

ノマドになった人のいろんな家族の事情があるのもまた興味深かったです。ノマドになるのにも理由が様々で、その家族にだって戻ってきてほしい理由がある。ファーンのお姉さんを訪ねた時の「寂しかった」という言葉がすごく胸に刺さりました。スワンキーがこれまで旅してきた放浪旅の話をして、「だから私はもう思い残すことはない、いつ死んでもいいの」という言葉にも涙が出そうになった。これだけ生きることを無駄にせずに過ごせていることを羨ましく思ったのかもしれない。自分の状況と照らし合わせて、自分は今何をしているんだろう?と問いたくなったり。

そしてデイヴがノマドから戻って息子と一緒にピアノを弾く姿を見ては、人間は人生へ順応性もあるんだな…とも思わされたり。ロードムービーという簡単な言葉では片付けられない魅力が詰まっていました。

Suchmos:「WATER」  

WATER

WATER

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このけだるさと綺麗さがマッチする…!と思ってSuchmosのおしゃれナンバー。映画の中でゆっくり時が流れていくのに合わせて、エンドロールも気持ちよくみれそうだなと思いました。トロールズでもいいかなぁと思ったけどほぼサブスクない。

 

4.騙し絵の牙

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吉田大八監督の作品が好きなので観に行ったんですが、キャストの豪華さの割に内容がかなり渋くって地味めだったのが意外でした。原作は別で存在するんですが、それにしても吉田大八監督のカット割や疾走感みたいなのは、こういう地味目な題材でも光るな〜と思いました。どんとひっくり返る瞬間が何度もあって、その度はいキター!となってました。いつも音楽かっこいいところも好きなんですよね。

所々の細かい演出も面白かったです。エレベーターの中で階数同じだった時のリアクション、別部署になるから別階のボタンを押して押し出すリアクション、作家を祝う会場で急いで入ったらちょうど黙祷中でうーっとなりながらそっとドアを閉めるアクションなど。

あと吉田監督は大泉の洋ちゃんをイメージしながらこの脚本を書かれたそうで、その割には"大泉洋"感がかなり薄くて驚きました。

ただ私の理解力のせいかもですが、説明要素が多くて理解しきれないまま終わった部分も結構ありました。佐藤浩市が誰かと腹違い?か忘れたけどそれほど重要そうでもなかったり、KIBAプロジェクトの全貌があまりよくわからないまま終わったり(笑)。「映画やドラマや漫画になっていないものは本で買うしかない」っていうのはなるほどと思いつつ。私のEvernoteの感想まとめに「小さいからこそ面白い、難しいからこそ面白い、うーーん」って書いてあって、これがなんのことを言ってるのか全然思い出せない(笑)

"騙し合い合戦"で"嘘つきは誰だ?"みたいなのを謳い文句にしてますが、そういうのって大体…と思ってしまう(笑)もっと別アプローチの予告がよかったなぁ。

東京事変:「能動的三分間」  

能動的三分間

能動的三分間

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吉田大八監督の疾走感ある画にハマりそうだなと思って選んだ能動的三分間。吉田監督の作品は私エンドロールのクセもすごく好きで、この曲がマッチしそうだと感じました。全部の展開が大好きな曲です。

 

5.プロミシング・ヤング・ウーマン

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題名の通り、約束を果たすための復讐劇。主人公のキャシーがずっと謎の間の取り方をしたり不思議な雰囲気を纏っているので、終始何を考えているのかが分からない。明るいシーンや普通の会話シーンでも、キャシーはどう思っていたのかが謎です。ただキャシーはそこまで無機質で狂ってるわけじゃないから、感情の置き所も難しい。復讐劇の構成はパートに分かれていて、キャシーの周りに急に知らない人脈が表れるので、この人はどこで知り合ったん??みたいな人がすっ飛ばされてその場にいるから余計に謎みが増すキャシー。

音楽の使い方がなんだか若いな!と感じ、色使いはかなり女性的だな!と感じました。1,2,3,4,5と短編的な見せ方をしてたんですが、特にそのパート分けが必要なのかが分からなかった。

この映画を見て思ったのは、結局人の本質は変えられない、ということでした。周りの人間は似たような人間が集まる。同じ出来事・起きた事柄・確実な事実の事象があっても、 それに対する感じ方・考え方・受け止め方は人の数だけのそれぞれの正解しかないんだなぁと思いました。

特にラストの慌てて窒息死に追い込んだ医師が親友にどうしよう…!と泣きながら相談するシーン、 親友は冷静になってるようにみせて「お前は悪くない、ここに彼女はいなかった、捨てに行こう、お前は悪くないんだから」と無茶苦茶に諭すところで、医師がホッとして一瞬安堵に笑うカット、あそこがもう、アァ……とかなりショッキングで忘れられない。やっぱり人は変わらないし、まわりの環境は自分が過ごしやすく作り上げてるものだから、理解者ばかりが集まってる集合体なんだ変わらないんだ…ごめんなキャシー…って思ったシーンでした。

でも私は思っていた以上にひどくなかったラストに感じました。誰も救えず救われず、何も変わらず終わるのか…という胸糞ラストで終わるのかと思ったら、一気に少し希望が見えた感じに終わったのが少しがっかりしたんですが、映画館出る時後ろのカップルが「あのまま終わってたら低評価だったわ〜」と言ってたのであれは正しい幕の閉じ方だったのかもしれません…(笑)

LOVE PSYCHEDELICO:「Free World」  

Free World

Free World

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正直デリコのロックなノリだったらどんな曲でも似合うのでは…?というぐらいハマる気がする。軽やかなボーカルやギターの音色やカントリーっぽいロックさが、この映画の若々しさっぽいなと。「Place Of Love」もすごいハマりそうと思ったんですど、確か他の映画で選んだきがする…と思ってこっちにしました。

 

6.オールド

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人里離れた美しいビーチで、バカンスを過ごすためにやってきた複数の家族が、異常なスピードで年老いていくという不可解な現象を起こすスリラー的映画なんですが、最初からなんとなくどういうオチというか、仕組みでそうなっているのかが予想がめちゃめちゃつく怪しすぎる。セリフの節々もかなりヒントが撒き散らされています。

どんどん老けていくという展開に少しずつ気づかせるつもりが、時間換算がちょくちょく怪しい。なんだか意味なくバッタバタ人が死に出すのはさすがに笑いました。そりゃねぇだろみたいな展開が多くて、ヒーってなるより笑ってしまうことの方が多かったです。子供絶対なんか伝えてるんだから、早くその手紙読み解いとけや!!ほら言わんこっちゃない!!ってなってました。医者とかそっち系の役立つ人が島に集まりすぎてやけに好都合だな!

ドラマシーズンとかでやればもっと面白いのかな?LOST的なイメージ。無意味に死んじゃう人が多すぎてそこの葛藤が全然描かれずほったらかしで可哀想…(笑)Evernoteのメモには「ほったらか死かわいそう」って書いてあったマジひどい。なぜ島を出ようとすると気絶して砂浜にいつの間にか戻されているのかが謎でした、なんで誰もツッコまないのそこ…。あれだけずぶ濡れだったのにメモはどうやってその文字残されたままだったんだ…破綻は破綻するのでそんなに追いかけちゃいけないけども…(笑)

研究者側にも研究者側の正義があるのはなんとなく分かりました。あと傷をつけても時間経過が早いからすぐに傷口が塞がるとか。子供は成長スピードが早いのですぐ大きくなったり、大人は認知症や目が見えなくなったりなどなどの仕掛けも。

こういった「ありえない」というような設定で、スリラーやホラー系の作品を観るとどこか、そんなわけないでしょ!とツッコんで笑いたくなる場面も多いので、よく「”面白い“と”怖い“は紙一重だ」という言葉を思い出します。当たり前だと思っている人にとっては”怖い”けれど、ありえないと思っている人にとっては”面白い”と感じる部分が、スリラーやホラーの魅力のようにも思います。かなり観やすいスリラーです。

米津玄師:「Flamingo」  

Flamingo

Flamingo

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255
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不穏な雰囲気がもしかしたらハマるかも…?と思って選んでみた楽曲。一生の命と一瞬の命の繰り返しみたいなところを描けるかも?と思って選んでみました。

あなたは(フラフラフラ)フラミンゴ

鮮やかな(フラフラフラ)フラミンゴ

踊るまま ふらふら笑ってもう帰らない

寂しさと嫉妬ばっか残して

毎度あり 次はもっと大事にして

 

7.空白

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万引きをしようとした女子中学生が逃げた末に車に轢かれて死んでしまう、追いかけたスーパーの店長と娘に無関心だった父親という、残された人たちのヒューマンサスペンス。吉田恵輔監督の前作犬猿が好きだったので、予告からずっと観たいと思っていたこちら。とにかくしんどい。とにかくしんどい(2回目)。冒頭の轢かれるシーンもかなりリアルです。

観ている間はずっと進展がほとんどない、お互いの間に流れる時間のすれ違いや、亡くなった者の語られない真実のせいで、話はほとんど進まない状態で時間だけが流れていくので、正直かなり苦しくてとにかくしんどい(3回目)です。だけどその流れる時間の中で知ることで、少しずつだけ、ほんの半階段だけ変化していく心情が描かれていきます。絵を描いてみたり漫画を読んでみたり、娘を知ろうとして少しずつ変わっていく古田新太演じる父親。

誰も上手いように救われないけど、二人目の犠牲者が出たところで同じように娘を亡くした人から語られることで、何かが確実に変わった感じがしました。万引きしたもの、マニキュアがトップコートだったというのにも、グサっときた。

松坂桃李のなんとも言えないどうしようもない心情はめちゃくちゃ精神やられそうな役所で超難しかったろうなぁ…。店長の本音が爆発して最後の電話で「美味しかったです」と謝るシーンの辛さ…「弁当、青柳さんの作る弁当が美味しかった、お疲れ様でした、ありがとうございました、また弁当屋でもやってくださいよ」これで果たして青柳さんは救われたのかなぁ。寺島しのぶの「大丈夫」という言葉に、嫌気がさすのも無理ないよなぁ。
三者面談、娘は本当にそれを伝えたかったのかな…?それさえもわからないから空白……空白に人は身を委ねるしかない…。出てる俳優さんみんな素晴らしかったと思います。

特にラストシーンが最高でした。最後の終わり方の尺と演技と切り取り方とエンドロールに入る切れ目。だからあの少し笑わせるような箇所で「イルカの雲」と少しひっかかるキーワードを入れたんだなぁ…親子は親子だったんだよな…となるラストカットが最高でした。

吉田さんのただなんとなく互いにわかる気持ちのすれ違いを残して、こういった方向のものもできるんだなーと感心しました。気持ち的に結構しんどい映画だったけど、最後が本当にいい余韻で見れてよかったです。

Cocco:「コスモロジー

コスモロジー

コスモロジー

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曲の雰囲気とCoccoの声がマッチするかなと思って選びました。静かに始まる冒頭の「独りだな これは確かそうロンリネス」という歌い出しがあのラストカットを終えたエンドロール始めにハマりそう〜と思ってましたが、歌詞全体通してもとても合いそう…!

わがままも 知らない 深い海の底

だから今だけ 聞いていて

あなたへの歌を だから今だけ 言わないで

"愛してる"なんて そんな大きな世界

"愛してる" Oh 今日も 流れ星

 

8.最後の決闘裁判

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中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の決闘裁判を基にした物語で、騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるところから事件は始まり、目撃者もいないためル・グリは無実を主張し続け、真実はカルージュとル・グリによる、生死を懸けた決闘裁判に委ねられるというストーリー。
映画は4部構成になっており、①騎士カルージュの視点 ②旧友ル・グリの視点 ③妻マルグリットの視点 ④決闘裁判 という構成になっています。そのため、同じ時系列をそれぞれの視点で語られるため、何度も同じシーンがそれぞれの視点で繰り返される部分が印象的に出てくるのです。
しかし、同じ時系列の話をしていながら、カルージュの第一章では描かれていなかった気になる台詞のやりとりが、第三章のマルグリットの視点では描かれていたり、第二章のル・グリで描かれていた部分が第三章のマルグリットではまるっきり無くなっていたりなど、まるで各人物が重要に思っている記憶の残し方が分かるかのような描き方で、超超面白い。カルージュの視点ではそんなやりとりなかったじゃん…?っていうのが、マルグリットの視点では乱暴なカルージュが描かれたり。ル・グリも親友のことを思う気持ちが内部では描かれていたり。ル・グリがマルグリットが自分に興味があると勘違いする部分、マルグリットの視点からみると本当はただル・グリを貶していたり。
それぞれの言い分があり、言葉では語られない表情や仕草があるのです。妙な言葉の間とか表情とかもひっかかるようになってしまい、多分「それぞれの真実」があって、それが少しずつすれ違っていくため、波乱が起きるんだろうなぁと。”誰が本当の正義か“、と問われると答えるのが難しいくらい、映画を観ながらかなり考えさせられました。いやでもあれは強姦だとは思うから真実なんだけども…。
生死を懸けた最後の4部の戦いでは、最後の最後まで本当にどうなるのかわからずハラハラしながら観ていたと思う。結果はあれど、それぞれの視点から観ている側としては、本当にこれでよかったのか…?となるラスト。なんともいえない表情や背中のシーン…。このもやもやが映画的魅せ方がうまいなぁと感じました。数年後、なんでそんな死んだ顔をしてるの…??
衣装や美術も中世フランスという感じで美しかったです。二時間半ほどある長い映画でも、それくらいの時間をかけないとそれぞれの言い分がわからない作りになっているので、退屈にはならなかったです。すごい映画だった〜〜

サカナクション:「ストラクチャー」  

ストラクチャー

ストラクチャー

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このほぼ歌声の入らないサントラのような構成とサカナクションの低体温に淡々と奏でられる音色がおしゃれでこの映画の締めにかっこいいと思いました。

 

9.モーリタニアン 黒塗りの記録

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アメリ同時多発テロに関与した疑いで逮捕され、収容所に収監されたモーリタニア人の青年が、裁判すら受けられないまま拷問と虐待が続く中で、彼を救う弁護士たちの姿が描かれています。
政府から与えられた資料は都合の悪い部分は多くが黒く塗りつぶされ、まったく真相が掴めない、という題材になるほど…と思ったのと、実際の黒塗りにされた手記を基に描いている実話なので、実際にこんなことがあったのか…マジかぁ……と思う衝撃のシーンの連続なので、歴史を知ることは大切だと改めて感じることができました。
また弁護と検察として両方の視点からモーリタニア人の裁判について描かれるのですが、弁護はもちろんだけど、テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から死刑判決に処せと命令される検察側の中佐からも"真相を明らかにしないと闘えない、死刑にできない"という思いで、情報を明らかにしてほしいと訴えるところがリアルでした。本当にこんなことがあったんだなぁ。
刻々と時間が過ぎていくのも切なく感じたし、最後の裁判シーンのスラヒの発言がとっても良かったです。言葉でのみ最後に字幕で記されたその後の展開にもはぁ…となっちゃった。演者も本当によかった。エンドロールで実際の人物の写真がでてくるのですが、みーんなみんな似ててその再現度がすごかった!驚きました。
それからエンドロールでは実際にスラヒが解放されて母国に帰ってきた瞬間の映像や、スラヒと弁護士たちの写真、現在のスラヒからのビデオメッセージなどが流れます。ビデオメッセージの中で、なんとなくBGMに合わせて歌い始めるボブ・ディラン「Man In Me」を口ずさみながら、「僕のことみたいだ」と笑うところがまた素敵でした。泣きそうになっちゃった。

ボブ・ディラン:「Man In Me」  

これはもうこれでいきます。。

 

10.ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”

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嵐のデビュー20周年のアニバーサリーツアーでこの映像収録のために行われたライブ映画。1曲目のイントロが流れると、メンバーの手に乗せた小型ドローンが飛び立って満員の会場全体を映すところから始まり、普段のライブ映像では見られないような仕掛けが随所に散りばめられていました。

1回目は"ドルビーシネマ"という、普通の映画館と比べて映像や音響設備がより整った環境が組まれた映画館で鑑賞したため、ライブ特有のうねるような歓声や低音の響きを感じたり、スクリーンに映し出される映像の粒だった綺麗さを体験することができました。ライブ映像でありながら、観客にスポットを当てるシーンや細かいカット割り構成などちゃんと映画的な見せ方もあったと思います。

セットリストもわかりやすい知名度ある曲で構成されているため、一般の人でも楽しめる作りになっていたのがすごい。2回目は普通の映画館で普通の嵐ファンでもない友人と見に行ったのですが、「分からない曲は2曲だけだった」と聞いて驚いた。

次々と曲が流れるたびに、この時はこうだったな…と当時を思い出すようなことが多く、まさにその会場の空間にいるような没入感を味わうことができました。嵐はこのツアーで、「どうしたらファンクラブの人全員が見れるコンサートができるのか?」ということを考え抜いた対価がこの1年をかけた50公演のツアーだったわけです。

嵐は本当にあの当時どんな状況があろうとずっとファンのことを考えていたし、ずっと一生懸命に精神的な体力もギリギリになりながら、ずっとファンのために嵐を突っ走ってくれていました。それがずっと伝わってくるから、「本当によく頑張ったと思う」、そんな感想ばかりになってしまうんですよね。

bi9rii.hatenablog.com

これは「夢のつづき」というより、そんな彼らが「本当によく頑張った記録」だと思うのです。それは「思い出」みたいな美化したものでもない、ちゃんと事実として残した「記録」なんだと思います。そういえば12月にラストライブの盤も出ますね、走り抜いた記録を観るのが楽しみです。

嵐:「いつまでも」  

いつまでも

いつまでも

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エンドロールで幸せそうに流れ出すライブ音源の「Love so sweet」と「Happiness」もむちゃくちゃ良かったんですが、ここぞとばかりに使わせてくれ…!私のTwitterフォローしてくださってる方は、もううるせえよ!って感じだと思いますが、本当にいい曲だし、本当にぴったりの楽曲です。音にも歌詞にももれなく泣く。

未知の上はしゃぐ 踊る未来の粒

真っ白な想い出を 胸にしまった日の約束

君と生きた毎日 ただ君だけを愛した日

多分僕のすべてが君のそばにあった

当たり前の毎日 二度と逢えぬこの日を

どんな時も忘れないように こうやって時を止めたい

こんなに辛くて忘れたいよ あなたの声 優しい手

諦めたくて逃げたいほど 情けなくて いつも一人

音が急に鳴る 君のための歌が

カバンの中あふれてる ふたり好きだったメロディー

君が泣いた訳を ただ探して恋した日

たぶん君のすべては僕のためにあった

もう帰れない場所が こんな風に過ぎ去ってく

どんな時も忘れないように こうやって時を止めたい

それは現在もなお僕襲う あの歌また記憶解く

溢れ出る様波の如く 山を彩る秋の如く

(街の記憶)身勝手になって 胸に仕舞ってみたって

現在も光って 未だ光ってしまって

つらすぎないですか…???ピッタリすぎません…???

2020年も2021年もレギュラーラジオのその年の最後の最後の選曲に「いつまでも」を引き当てる二宮くんも強運すぎる。

 

11.ラストナイト・イン・ソーホー

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ベイビー・ドライバーエドガー・ライト監督によるタイムリープ・ホラー。ベイビー・ドライバーがめちゃめちゃかっちょよくて好きだったので、今回もおしゃれだろうな〜と思って観に行きました。やっぱり世界観作りがめちゃくちゃ上手いと思いました。ロンドンの街並みの綺麗さとその裏にある危険なニオイの書き分け方が画で伝わってくるというか。ポップの裏にあるスリラー、みたいなことが成立するからどんどん引き込まれていきます。タイムリープの描き方が不思議な感じで、世界観作りのおかげか、段々とその不思議さに慣れてきます。夢堕ちでその夢の中の人物というよりは、過去のタイムリープなのかと気づきました。

またベイビー・ドライバー同様、編集のテンポ感がめちゃくちゃいいのでずっと飽きずに観続けられる。60年代の音楽やファッションがとても華やかで美しい。ふいに大きな音や演出で急な驚かせ方にビクッとなるのが2回くらいあってドキドキした。また映像の色味やノイズ感もとてもオシャレで綺麗でした〜。屋根裏の一人暮らしの部屋の夜、隣の洋食屋のネオン看板の1秒おきくらいに点滅する赤白青の3色が、映像的に効いてきてこの部屋で起きるスリラー要素にも大きく印象を与えてる!と思いました。スリラーはスリラーでも、映像がおしゃれで若々しいのでかなり観やすいと思います。オープニングのエロイーズが部屋の中で音楽に合わせて踊る様子がめちゃくちゃ可愛かったな〜!

サンディの人生を知りながら、本当は悪いやつだったんじゃないか?本当に助けて欲しかったのは男たちだったのか…?と思わせておいて、男たちの「あの女を殺せ」という切な言葉に「嫌!」と即答するエロイーズにびっくりしました。そこで流される展開かと思いきや、サンディの人生を知っているからこその選択だったのか…と少し納得。年寄りをそのまま殺してしまう展開はだいぶ序盤で気付くのでえぇ〜となったり。ラストで時間が急に飛ぶのは、終わり方として安易でちょっと微妙…?にも感じました。

鏡の中の幻影のお母さんはあまり印象的に残らなかったけど、結局なんだったんだろう?あまり効果的ではなかったような気も…エロイーズがそういう力がある事を示すためだけ?最後のサンディはどっちなんだろう、エロイーズは嬉しそうだったけど、その最後のタッチはまた悪夢を描く合図なのか???と少し思わせるラストでした。音楽もさすがオシャレで、観やすかった!

OKAMOTO'S:「You Don't Want It」  

You Don't Want It

You Don't Want It

  • OKAMOTO'S
  • ロック
  • ¥255
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歌詞も楽曲のイメージも結構ぴったりな気がしました!ちょっとダーク要素は入ってて、ショウさんの歌声と古びたインディーズ感のある楽器の音色が最高です。この若々しい映画の雰囲気にぴったりだと思います。

心のドアを閉ざしていてもいつも同じところで

何を考えていたって 同じさ

どこでも行けるとしてもどこへも行かなけりゃ

閉じ込められてるのと同じさ

You don't want it!You don't want it!You don't want it!

 

12.悪なき殺人

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ある失踪事件を軸に、思いもよらない形でつながっていく5人の男女の物語を描いたサスペンス。吹雪の夜、フランスの山間の町で女性が失踪し、殺害された事件の犯人と疑われるところから全ての人物の物語が少しずつ動き出します。
映画は5部構成の視点で、①疑われた男性と不倫関係にあった女性、②疑われた男性、③殺害された女性と交際関係にあった女性、④サイバー詐欺を行う男性、⑤不倫をしていた女性の夫、という構成。この全然交わらなそうな人たちが思わぬ形で複雑に交わっていく様がめちゃくちゃおおぉ、なるほど…!となりました。それぞれの構成で不思議に思う謎を残すんですが、後半の構成でその謎を回収していたり。
私は①〜③まではうーん?これどうなる…?と思っていたんですが、④から一気に、うわぁなるほど…と全てが繋がっていきました。ここからの怒涛の全てが繋がっていく展開がすごい。本当に交わることなさそうな住む国も違うような人たちが一気に交わっていく嘘みたいな展開が面白かったです(フィクションだけども)。⑤のラストもはーなるほどそうなるんだ…!という。
映画はずっと静かなテンションで進んでいきます。音楽もほとんどなかったような気がする。山間の雪の積もった景色など、景色の綺麗さや環境音で全てを魅せるような。セリフの間合いとかもすごく静かで見入ってしまう。それが続くので謎に包まれている①〜③くらいまでは根気よく観ていないと繋がっていく様を見逃しそう(笑)。私はこの話は、今年観た8の「最後の決闘裁判」の構成や演出にすごく似てるな〜!と思いました。あちらはそれぞれ登場人物の感情ごとに描き方が変わっていくけど、こっちの作品は、淡々と事実で描いて感情は受け取り手に任せてる感じ。フランス・ドイツ合作映画らしく、なんとなく、っぽいなぁ…という印象を受けました。面白かったです!

サニーデイ・サービス:「ポップコーン・バラッド」  

この静けさに、優しくエンドロールで寄り添ってくれそうな曽我部さんの歌声。あとこの楽曲のテンション感がラストにかかるのがちょうどいいな〜と思いました。最初のイントロの感じとかが特に。

 

 

ということで、今年は12本観れました。去年は年間4本という不甲斐ない結果だったので、結構観れた!!コロナ前には戻れていませんが、少しずつ復活していきたいものです。ただ映画館でひと席空けて座るのは超快適なのでコロナ明けてもやってほしい・・・

 

今年特によかったと思った作品は、邦画では「すばらしき世界」洋画では「最後の決闘裁判」かなぁと思いました。

また来年もいろんな映画期待したいです。99.9は多分年明け観るよ!!!

 

来年もよろしくお願いいたします。